膵炎について
膵臓は、胃や十二指腸に沿って存在する小さな臓器で、インスリン等のホルモンを分泌したり、消化酵素を含む膵液を十二指腸に分泌したりする働きを担っています。膵炎は膵臓の膵酵素の漏出や、活性化により自分の膵臓を消化してしまうことにより炎症反応が起きる病態をさします。
犬の膵炎(特に急性が多い)
要点(最重要)
・突然の激しい嘔吐・腹痛・元気消失
・重症例では死亡率27〜58%と報告され、緊急性が高い
・「祈りのポーズ」(胸を下げてお尻を上げる姿勢)は強い腹痛のサイン
主な症状
・嘔吐
・食欲廃絶
・強い腹痛(触ると嫌がる)
・ぐったりして動かない
・下痢・発熱・脱水
主な原因
・犬の膵炎(特に急性が多い)
・高脂肪食(人の食べ物を食べた後に発症する例が多い)
・肥満・高脂血症
・薬剤(ステロイドなど)
・特発性(原因不明)も多い
治療
・絶食、輸液(点滴)
・痛み止め、制吐剤
・中〜重症は入院が必要
・回復後は低脂肪食で再発予防
・膵炎治療用の注射薬の連日投薬
猫の膵炎(慢性が多く、症状が分かりにくい)
・95%以上が原因不明で、飼い主のせいではない
・犬と違い、嘔吐や強い腹痛が出ないことが多い
・「なんとなく元気がない」「食欲が少し落ちた」程度でも要注意
主な症状
・元気がない
・食欲低下
・体重減少
・じっとして動かない
・嘔吐は軽度のことが多い
なりやすい猫
・明確な猫種・年齢の傾向はない
・糖尿病・IBD(腸の病気)・胆管炎・肝リピドーシスなどと併発しやすい
治療
・点滴、痛み止め、吐き気止め、早期の給餌(絶食は推奨されない)
・慢性では「治す」より症状を抑えて生活の質を保つ治療
・無理に低脂肪食にする必要はなく、その子が食べられる食事が優先
診断方法
・血液検査(cPL / fPL):膵臓特異的マーカー
・超音波検査(エコー):膵臓の腫れや周囲の炎症を確認
・レントゲン:他の病気の除外
・1つの検査だけで確定は難しく、総合判断が必要
飼い主さんが気を付けるポイント!
犬
・人の食べ物(特に脂っこい物)を絶対に与えない
・肥満に注意
・嘔吐が続く・祈りのポーズ → 即受診
猫
・「なんとなく元気がない」を放置しない
・体重の微妙な変化をチェック
・食べない状態が続くと危険(肝リピドーシスのリスク)
ミルクちゃんのケース(急性膵炎)
犬の急性膵炎の主な症状は、激しい嘔吐、食欲不振、元気消失、強い腹痛(お祈りのポーズ)をとる等です。急性膵炎は急激に状態が悪化し、命に関わることがあります。ミルクちゃんが三日前から黄色、緑色の液体を吐いているとの事で来院されました。血液検査や、レントゲン検査、エコー検査をしたところ、血液検査では膵炎の検査数値が高く、腹部のエコー検査では消化管の動きが悪くなっていることが分かりました。そのため消化管閉塞もないかを考慮し、無麻酔でCT検査を行いました。幸い消化管の閉塞は認められず、入院下で急性膵炎の治療を集中して行いました、徐々に食欲が出てきたので無事退院となりました。