今回のテーマは膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは…
本来は大腿骨の末端にある大腿骨滑車溝という溝に収まっている膝蓋骨が滑車溝から外れて太ももの力をうまく伝えることが出来ず、歩行が困難になってしまう病気です。
主な症状は歩行異常、疼痛があげられます。レントゲン検査による膝蓋骨の脱臼の有無や用手法による脱臼の程度の評価を行います。
症状
痛み、跛行、抱っこをした際などに膝が鳴る、普段上がっていた段差に上りたがらない...etc.
治療
外科適応でない症例では主に保存療法を行います。1~2週間消炎鎮痛剤の投与とレーザー処置を続けます。また膝への負担を軽減するため減量や飼育環境の改善(フローリングの上にマットを敷くなど)が必要となる場合があります。
外科的処置にはその重症度により様々な方法が報告されていますが、一部を紹介いたします。
滑車楔状造溝術
膝蓋骨が普段収まっている部分(大腿骨滑車溝といいます)の溝を深くすることで膝蓋骨の脱臼を防ぎます。
脛骨粗面転移術
膝蓋骨と脛骨をつなぐ腱と付着している面(脛骨粗面といいます)を骨ごと切り出し、新たな位置に固定することで膝蓋靭帯の位置を調整します。
ココちゃんのケース
右後肢の膝をまげずに歩くとの事で来院されました。レントゲンを撮ってみると両側が膝蓋骨内方脱臼をしていて、特に右側が外れて元に戻らない状態でした。まずは右足の膝蓋骨内方脱臼整復手術、退院後様子をみてもらい、少し間をあけて左膝蓋骨脱臼の整復手術を行いました。現在は通常通り歩くことができるようになりました。
チョコちゃんのケース
両後肢の膝蓋骨脱臼をしていたチョコちゃんは11月と2月の二回に分け、整復手術を受けられました。手術・入院治療を終え元気に退院され、今は両ひざとも動揺なく、歩行もよくなりました。
コッぺちゃんのケース
トリミング併設の動物病院で、無料健康チェックがあり、受けてみると「膝蓋骨脱臼があるので、すぐ手術が必要です。」と言われたそうです。そのため、心配でセカンドオピニオンで来られました。すぐ手術が必要というほどのことではありませんでしたが、飼い主様は先の事を考えられて手術を希望されました。