
今回のテーマは陰睾
陰睾(潜在精巣、停留睾丸)とは
潜在精巣や停留睾丸とも呼ばれています。
精巣の片側又は両側ともに陰嚢内に存在しない状態であり、
潜在精巣として鼠径部あるいは腹腔内に存在すると考えられます。
精巣(睾丸)は、胎生期に腹腔内で形成され、出生前後に「鼠径管」を通って、「陰嚢」の中に下降していきます。
停留精巣の場合、陰嚢内の精巣に比較して腫瘍化(セルトリ細胞腫、間質細胞腫、精巣皮腫)する確率が高くなり、骨髄不全(ホルモンの影響による)を引き起こすものもあるため、手術による摘出がすすめられます。
また、陰睾は遺伝するため繁殖には適していません。
チャチャちゃんのケース(陰睾、潜在精巣、停留精巣)
生後7か月の時に去勢手術の相談に来院されました。精巣は通常、生後6ヵ月齢くらいまでに腹腔内から陰嚢に下りてくるのですが、茶々ちゃんは精巣が両側とも降りてきていませんでした。一か月後に再度精巣が下りてきているか診察し、降りてきていなければCT検査をした上で去勢手術を行うことになりました。一か月後の診察時も変わりがなかったので、CT検査で精巣の位置を確認してから、開腹しての去勢手術となりました。
samちゃんのケース(陰睾、潜在精巣、停留精巣)
去勢手術の術前検査で、片側陰睾であることが分かりました。陰睾は普通、鼠径部の皮下にとどまっていることが多いですが、お腹の中に留まっている場合はエコーで確認できることもあります。samちゃんの場合、エコーでは腹腔内の潜在精巣の位置が分かりませんでした。後日CT検査で腹腔内の潜在精巣の位置が確認できたので、小切開での摘出を実施しました。 翌日、元気に退院されました。